買ってもらいたいお客様になる
ディーラーには日々いろんなお客様が来店されます。
このブログでも何度か書いていますが、「車を安く買う」為には良いお客様、買ってもらいたいお客様になるのが一番だと思っています。
今回はそんなお客様の例を紹介したいと思います。
数年前に購入して頂いたのですが、とてもカジクンの印象に残っていていまでも点検などのメンテナンスでお付き合いのある方です。
はじめはカタログをもらいに来ただけだった
お客様のデータ
お名前はSさんとします。
年齢は26歳で男性、独身です。当社の車に興味を持っていただき、実際に車を見にきたのとカタログをもらいにきた。
性格はとても大人しく丁寧な言葉づかいの好青年。
Sさんは初めて来店されたとき、カタログコーナーで立ってカタログを見ていました。
なんとなく緊張感が感じられたので、すぐにお声掛けするべきか迷いましたが、とりあえず席に座ってもらってゆっくりご覧になっていただきたい、そう思って声をおかけしました。
そうすると車を見たい、説明を聞きたいとご要望がうかがえたので試乗車をご案内し、その後見積りを作成、車のご説明と商談を進めていきました。
本当はカタログを貰いにきただけだったが、せっかくなので色々と教えてほしい、と言って頂けました。
実はとても欲しかったらしく、商談のなかでも当社の車をとても気に入っていただけているのがわかりました。
私のなかでこれはイケるな!と判断し、支払い方法など細かく質問していきました。
すると、「ローンは組みたくないので現金で買いたい。でも見積りの金額だとだいぶ予算がオーバーしてしまう」とのことでした。
やんわりと予算オーバー分だけでもローンを組んではどうか?とオススメしましたが、そこは頑なに現金で、とのことでした。
そういった事情から、とりあえず半年以内には買いたい・・・とのことでお帰りになりました。
やっぱり欲しくて2か月後に再び来店
Sさんと商談させていただいた中で、カジクンはSさんに対してとても好感を持ちました。
Sさんは予算よりオーバーしてしまうことに対して、決して「高い!」とか「他社だったらもっと安い」的なことは言わなかったのです。
予算が足りないのは自分が準備できないせいだ、と考えていらっしゃいました。
わかりやすく言うと、車の価値と見積りの価格に納得していただけたのです。
こんなにいい車だからこれくらいの金額になってしまうのは当たり前ですよね、という姿勢でした。
カジクンはそういう人が大好きです(笑)
最初に来店したときは半年以内にと言っていましたが、実際には数週間後に再度来店されました。
やっぱり欲しくてたまらない、どうにか買えるように相談に乗ってほしい・・・というスタンスでした。
やはり好感が持てますよね。
安くしろ、ではなくて買えるように相談に乗ってほしい、です。
言ってる事の中身は同じようなものなんですけど、受け取る私としてはまったく違う印象です。
お話を伺っていると、現金購入は変わらず、ただ少しだけ予算アップするのでこの範囲で買いたい、オプションの変更などの相談をされました。
ナビを廉価版の金額を抑えたタイプに変更したい、メンテナンスのパック(点検や車検、オイル交換などをセットにしている)を省いてとにかく支払いを押さえたい、とのことでした。
お客様の気持ちはとてもわかるのですが、私の経験上、かなりの確率で「やっぱりあの時上位のナビにすればよかった」と後日おっしゃる方が非常に多いです。
色々と言葉を尽くし、買った後のことをイメージしてもらいながらナビは変更なしとなりました。
メンテナンスのパックについても、とても気に入った車なので長く乗りたい、だからメンテナンスパックが大事であること、今のメニューがオトクなのは理解している、でも予算オーバーだからメンテナンスのパックを省くかランクダウンしたい、とおっしゃいました。
メンテナンスのパックは商品の設定上、一番金額の高いメニューが一番オトクになっています。
そういった仕組みを何度も説明したのですが、きちんと点検は受けるし、その都度支払いとなってもいいので省いてほしい、と強く希望されました。
Sさんとお話ししていると、きっとこの方は本当に点検を毎回受けて大切に乗ってくれるだろうな、と感じていましたが、だとすればなおさらメンテナンスパックを変更するわけにはいきません。
Sさんにとって損になってしまうからです。額面上一番高額なメニューが一番オトクなのです。
すでに値引き条件は提示済みでした。あらゆる値引きの規定枠をすべて使い切った条件でした。
Sさんはもちろん、その値引きについても一切文句を言いませんでした。
数百万の商談をしながら数万円の金額差に悩む青年。
その姿が「どうしてもこの車を欲しい!」という強い気持ちを感じさせました。
このあたりでカジクンのなかでは、Sさんは「絶対に買っていただいて、乗ってもらいたい、そして当社の車を楽しんでもらいたい大切なお客様」になっていました。
さぁここからがカジクンの出番です。
新型車であるにもかかわらず社内で最高額の値引き条件を引っ張り出す!
Sさんにはこう伝えました。
「あなたが当社の車を欲しい気持ちはよくわかりました。私も絶対にS様には購入して頂きたい。ただ現状では当初の予算をオーバーしていますが、私はオプションの変更などでSさんの満足度を下げるようなことはしたくない。少しでも安くできるよう社内で調整するのでお時間を頂けないですか?」
とのカジクンの問いに、目を輝かせながら
「何時間でも待ちます!」と返答されました。
Sさんの了承を得たので一度事務所へ引っ込み社内向け作戦の開始です。
まずは直属の店長へ相談しますが、規定いっぱい値引きしてしまってるのでこれ以上はできない、との事でした。
そんなことは予想済みです。
確かにすでに値引き枠は使ってしまっている、新型車なので値引き枠が少ないのわかっている、でもどうしてもカジクンはSさんに買ってもらいたい!という気持ちを店長にぶつけ粘りました。
すると店長は「もう自分の判断枠ではないので部長に相談」となりました。
さてここも予想済みです。
店長には「カジクンが直接交渉します」と伝え部長へTEL。
部長にも店長に伝えたことと同じ話をしました。
ですが、やはりこれ以上は無理との回答でした。
もちろんそれも予想済みです。
カジクンは部長にこう伝えました。
「N部長。実は今月あと〇〇台の見込みを抱えています。店長には報告していないので店長は把握していません。今回のお客様のSさんにはどうしても販売したいのですが、この商談がコケちゃうとあとに続く〇〇台の商談にも影響が出てしまいますね・・・テンション下がると売れ行きも下がっちゃいますからね・・・部長だったらおわかりですよね・・・新型車が出て勢いがある今、この契約はどうしても取りたいのです。どうにかお願いできませんか?オーバーした損金はいま抱えている○○台の見込み客を契約して数倍にして返しますんで。いいですよね?はいわかりましたありがとうございます今月もっと売りますんで期待しててくださいよろし#$%&#・・・・」
というようなことを一気にまくし立ててゴリ押しで作戦成功(笑)
あとで聞いたら今回の値引き額はこの新型車を販売してからの最高値引き額でした(笑)
「頑張ってくれてありがとう」この一言で充分です
結局見積りを作り直したりでSさんの元へ戻ったのが30分後。
Sさんは「どうでした・・・?」と伺うような視線で結果を尋ねてきました。
そこで私が提示したのは、「ナビもメンテパックも変更せずに、本人が変更して下げようとした金額」に合わせたものでした。
Sさんはこんなに安くしてもらっていいんですか!?」と驚きながらもとても喜んでくれています。
決して「最初からこの金額まで安くできたんでしょ?」的なことは一切言わず、また匂わせもせず、ただただありがとうございます、とっても嬉しいですと、繰り返すだけでした。
その言葉を聞いてカジクンもとても嬉しく感じていました。
Sさんとはもちろんいまでも良いお付き合いをさせて頂いています。
私たちは自動販売機でもありません。
感情のある人間です。
「値引きをさせる」方法って自動車購入マニュアルやネットにたくさんありますが、そんなものカジクンは通じるとは思っていません。
そんなマニュアル通りの買い方をして、「値引きをさせてやった!」と思うのもいいですけど、本当はその先こそ限界突破の値引き額かもしれませんよ?
値引きを「させる」のではなく、「値引きをしてもらう」という観点からご自身の行動や言動を見たり考えたりしてみると、商談の進み方が変わるかもしれません。
もしかした「上から目線」のように感じるのであれば私の文章力の無さです。
そうではなくお客様は「値引きしてもらった」、営業マンは「買っていただいた」とお互い思えるのがベストだと思っています。
そんな関係を築くことができたら、その営業マンはあなたのカーライフにとって頼りがいのあるパートナーになってくれるでしょう。
今回のまとめ
営業マンだって感情のある人間
買ってもらいたいお客様と思われるのが値引きを引出しやすい
そのためには「欲しい」気持ちをストレートに伝える
そうすれば営業マンはあの手この手で勝手に限界突破してくれる(笑)
好感の持てるお客様のことなのでちょっと長くなりましたが、今回はこれまで。